受験の極限攻略
11.4 数学の勉強法:数学が絶望的に苦手だったらここから
更新日 2021年6月12日
数学は積み上げの教科です。
小学生の算数、中学生の数学を固めることで、初めて高校生の数学ができるようになります。
例えば、計算が苦手なままで数学が得意になることはほとんどあり得ません。
食塩水問題ができないのに大学受験の問題を解くこともできません。
三角形の内角の和、相似/合同の知識なしでは、三角関数は理解できません。
よくあるのは小、中学の学習が不充分で、計算も間違えがちだし、なんとなく数学が苦手になり、高校で暗記量が一気に増えて理解が追いつかなくなり「何が分からないかも分からなくなる」パターンです。
ではどうすればいいかと、小学校、中学校の内容に戻って勉強し直します。苦手意識を克服するには順を追って訓練するのが一番です。
受験の数学で、ひらめきが必要な問題はほとんどありません。小学校、中学校、高校の教科書の内容が完璧に理解できていれば、基本的にはその組み合わせで、解けるように出来ています。
数学が壊滅的に苦手な人は①~⑥の順番でやります。
<小学校、中学校の数学の復習>
- ①計算ドリルで計算を鍛える
- ②中学校の難関問題で整理する力を鍛える
<高校の数学>
- ③標準問題集で必要な知識を身につける
- ④公式を自分で作れるようにする
- ⑤応用問題集で典型問題の解法をためる
- ⑥総合問題集で解法の組み立てに慣れる
ある程度数学ができる人は①、②は飛ばし、③か④か⑤から始めます。
⇒<11.5 数学 標準から応用/総合へ>
受験マンガ『ドラゴン桜』でも最初に計算の訓練をしています。
実際、計算はとても大事です。
早く解けるとか、失点しないということもありますが、精神的な要因も大きいです。
問題文を読む、解法を考える時間以外は計算している時間です。
つまり数学をやっている時間のほとんどは計算の時間なわけです。計算が苦手で数学が得意になるはずがありません。
また計算が得意になると、難問に対しても「試しに色々やってみよう」という気になれて、手が動きます。たくさんの解法を試した方が解ける確率は当然上がります。
具体的にやることとしては、反復練習あるのみです。何度も繰り返していると、見たことある計算が増えて、暗記に近い感覚になります。
例えば勉強前のウォームアップを兼ねて、100マス計算と中学校の計算ドリルを最低10分やります。
<算数 100マス計算 例>
- 陰山メソッド 徹底反復百ます計算(小学館)
- ちびむすドリル小学生(ネットで印刷できます)
- 学び舎100マス計算プリント(ネットで印刷できます)
<算数 計算ドリル 例>
- 中1~3計算10分間復習ドリル(増進堂)
- 中1計算 10分間基礎ドリル(学研)
- 中2計算 10分間基礎ドリル(学研)
- 中3計算 10分間基礎ドリル(学研)
時間を測ると集中力も増して効果的です。
数学は、究極的には『整理する力』です。
どんな難問も、細かく分解して整理すれば、一つ一つの要素は基本的な内容になります。
それらがいくつも組み合わさっているから、難しく見えます。
数学が得意な人は、難しいものを難しいまま理解できるのではなく、難しいものを自分が分かる形まで整理できる人、です。
例えば、以下の問題を解いてみてください。
<食塩水の問題>
- 容器A、Bにそれぞれ5%、12%の食塩水が300グラムずつ入っている。
- AからBへ50グラムうつしてよくかきまぜる。つぎにBからAへ『X』グラムもどすと容器Aの食塩水の濃度は8%になる
- 『X』はいくつか?
食塩水の問題としてはかなりややこしい問題と思います。
こういう問題はすぐ計算を始めてはダメです。
変化が起こったシーンごとに食塩水、塩、濃度を整理します。
ややこしかった問題も、この表のように整理していけば、5つの四則演算と、1つの方程式に変わります。
整理さえできれば、難問が一気にやさしい計算問題に変わるわけです。
数学が苦手な人は、計算をしながら整理をしようとして「ややこしくて分からないよ」と思うところ、数学が得意な人は、整理しながら計算することで「順番に考えていけば簡単じゃん」という感覚なわけです。
数学が得意と苦手を分けているのは『整理する力』です。
『整理する力』を身につけるには中学の難問を解くのが一番です。
なぜなら中学の数学は必要な知識が少ない分、純粋に『整理する力』が求められるからです。
具体的には、以下のどちらかの問題集をやるといいと思います。中学の問題といえど高校生にとってもかなり難しいと思います。
<数学 中学難関問題集 例>
- 最高水準問題集 数学1年(文英堂)
- 最高水準問題集 数学2年(文英堂)
- 最高水準問題集 数学3年(文英堂)
- ハイクラス徹底問題集 中1数学(文理)
- ハイクラス徹底問題集 中2数学(文理)
- ハイクラス徹底問題集 中3数学(文理)
<数学 中学総復習問題集 例>
- 高校入試 中学3年間の総復習 数学(旺文社)
初めてやるときは、テストだと思って解いてみて、間違えた問題に限り最大3巡繰り返します。
⇒<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>
実際、これらを解いてもらうとできない高校生も多いです。
でも、もし解けない問題があったとしたら、中学生の問題に戻って正解だった、「数学が苦手」の大元の原因を見つけた、ということなのでポジティブに捉えてください。
中学の数学をしっかり仕上げることで『整理する力』がつき、高校の数学にチャレンジする基礎が出来上がります。
高校の標準問題の学習の仕方を紹介する前に、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大の文系学部の合格者が使用した数学標準問題集を紹介します。
難関大に合格した人がどんな問題集を使っていたのか、参考になると思います。
難関大に合格するような人も、基礎問題集からこなしていたのがよく分かると思います。
また主要な問題集について、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大ごとの合格者の使用率をまとめました。
続いて、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大の理系学部の合格者が使用した数学標準問題集をまとめました。
また主要な問題集について、関関同立/上智MARCH/早慶/旧帝一工(除東大京大)/東大京大ごとの合格者の使用率をまとめました。
標準問題集で数学の必要な知識を貯めます。
教科書に載っている数学の基礎知識を、問題集を解きながら身につけるというイメージです。
問題集としては先にお見せした難関大合格者の使用問題集を参考にいくつか挙げますが、学校で指定されているもので構いません。
<数学標準問題集>
- 4STEP数学I+A(数研)
- 4STEP数学II+B(数研)
- 4STEP数学III(数研)
- サクシード数学I+A(数研)
- サクシード数学II+B(数研)
- サクシード数学III(数研)
- 数学I・A基礎問題精講(旺文社)
- 数学II・B基礎問題精講(旺文社)
- 数学III基礎問題精講(旺文社)
間違えた問題に限り最大3巡繰り返します。
⇒<8.1 最重要の勉強法!同じ問題集を繰り返す>
分からない問題があれば、教科書に戻って確認します。
ここでの演習が甘いと、後々が苦しくなります。
完璧にするつもりで繰り返してください。
本コラムのまとめ
- 数学が苦手なら小学校、中学校まで戻って勉強する
- 数学にひらめきなケースはほとんどない
- 得意不得意はあれど順を追って積み上げれば苦手は埋まる
- ①計算ドリルで計算力を鍛える
- ②中学校の難関問題で『整理する力』を鍛える
- どんな問題も分解して、整理さえできれば、一つ一つは基本的な内容になる
- ③標準問題集を繰り返して、教科書の知識を完璧に身につける